最判平14.4.5 農地法

最判平14.4.5 農地法

平成12()585 農地法違反被告事件 平成140405日 第二小法廷 判決 棄却 刑集 第56495

 

仙台高等裁判所 秋田支部 平成11()24 平成120330

 

判示事項

1 農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの)4条1項,5条1項,92条と憲法29条

 農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの)4条1項違反の罪と同法5条1項違反の罪の双方が成立するとされた事例

裁判要旨

1 農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの)4条1項,5条1項,92条は,憲法29条に違反しない。

2 土石の捨場として使用されていた農地を売却した者が,その後買受人によって行われた同土地の非農地への造成,転用を完成させる行為に共同正犯として関与したときは,農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの)4条1項違反の罪と同法5条1項違反の罪の双方が成立する。

参照法条

農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの) 41項,農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの)51項,農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの)92条,憲法29

 

        主    文

  本件上告を棄却する。

 

         理    由

  弁護人津谷裕貴の上告趣意のうち,農地法(平成10年法律第56号による改正前のもの。以下「法」という。)4条,5条,92条の憲法29条違反をいう点について

 法4条1項は,農地を農地以外のものにするには,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならないとし,法5条1項は,農地以外のものにするため農地について権利を設定し,移転するには,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならないとしている。このような規制の目的は,土地の農業上の効率的な利用を図り,営農条件が良好な農地を確保することによって,農業経営の安定を図るとともに,国土の合理的かつ計画的な利用を図るための他の制度と相まって,土地の農業上の利用と他の利用との利用関係を調整し,農地の環境を保全することにあると認められる。この規制目的は,農地法の立法当初と比較して農地をめぐる社会情勢が変化してきたことを考慮しても,なお正当性を肯認することができる。そして,前記各条項の定める規制手段が,上記規制目的を達成するために合理性を欠くということもできない

 したがって,法4条1項,5条1項及びこれらの規定に違反した者に対する罰則である法92条は,憲法29条に違反するものではない。このように解すべきことは,当裁判所の判例(最高裁昭和31年(オ)第326号同35年2月10日大法廷判決・民集14巻2号137頁,最高裁平成12年(オ)第1965号,同年(受)第1703号同14年2月13日大法廷判決[証券取引法]・民集56巻2号登載予定)の趣旨に徴して明らかである。

 

 2 その余の上告趣意について

 所論は,違憲をいう点を含め,実質は事実誤認,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 なお,原判決の認定によると,被告人が株式会社Aに売却した秋田県大館市内の土地(以下「本件土地」という。)は,大館市が被告人から土石の捨場として借り受け,土木建設工事の土砂が投棄されていたが,上記売買契約の時点では,依然として農地であり,被告人は,共同正犯として,その後Aが行った本件土地の非農地への造成,転用を完成させる行為に関与したというのである。以上の事実関係の下において,原判決が,被告人に法4条1項違反の罪と法5条1項違反の罪の双方が成立するとしたのは,是認することができる。

 よって,刑訴法408条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河合伸一 裁判官 福田 博 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 梶谷 玄)


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