最判昭32.4.5

最判昭32.4.5

昭和32()223 少年院送致決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告 昭和320405日 第二小法廷  決定 棄却 集刑 第118775

 

東京高等裁判所 昭和320221

 

判示事項

少年を中等少年院に送致する旨の保護処分決定は教育基本法第三条第一項に違反するか

裁判要旨

論旨の主張する、原決定(少年を中等少年院に送致する旨の保護処分決定)の結果として、事実上、本件少年が所論主張の高等学校教育を受ける機会を失うというようなことは、教育基本法三条一項所定の事由によつて差別的待遇を受けることに該当するものではない。

参照法条

少年法241項,教育基本法31項,憲法261

 

         主    文

     本件再抗告を棄却する。

 

         理    由

 本件再抗告の理由は、末尾添付の再抗告申立書記載のとおりである。

 所論の主張する憲法二六条一項は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定しているのであるから、憲法は、国民の教育を受ける権利を無条件無制限に保障しているものではなく、法律の規定する範囲内においてこれを保障していることが明白である。そして教育基本法は、右憲法の規定を受けて、その三条一項において、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない」と定め、教育を受ける機会は、すべての国民に対しその能力に応じて平等に与えらるべく、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて差別的待遇を受けないことを保障している。ところで、論旨の主張する、原決定の結果として、事実上、本件少年が所論主張の高等学校教育を受ける機会を失うというようなことは、右教育基本法三条一項所定の事由によつて差別的待遇を受けることに該当するものではない。換言すると、所論のような事由によつて、事実上、教育を受ける機会を喪失することは、教育基本法の右条項の保障とはなんの関係もないのである。されば、原決定は、憲法二六条一項にいう法律である前記基本法になんら違反していないのであるから、所論違憲の主張は、その前提を欠き適法な再抗告の理由とならない。

 よつて、少年審判規則五三条一項、五四条、五〇条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

  昭和三二年四月五日

     最高裁判所第二小法廷

         裁判長裁判官    小   谷   勝   重

            裁判官    藤   田   八   郎

            裁判官    池   田       克

            裁判官    河   村   大   助

            裁判官    奥   野   健   一

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