最判昭44.10.30 占有の相続

最判昭44.10.30 占有の相続

昭和44()265 田地所有権確認等請求 昭和441030日 第一小法廷 判決 棄却 民集 第23101881

 

仙台高等裁判所 秋田支部  昭和42()30 昭和431127

 

判示事項

占有と相続

裁判要旨

土地を占有していた被相続人が死亡し相続が開始した場合には、特別の事情のないかぎり、被相続人の右土地に対する占有は相続人によつて相続される。

参照法条

民法896条,民法180

 

         主    文

     本件上告を棄却する。

     上告費用は上告人らの負担とする。

 

         理    由

 上告人らの上告理由第一点、第二点および上告代理人寺井俊正の上告理由第一点

について。

 自作農創設特別措置法による売渡を受けた後、本件土地につき耕作の事業を主宰していた者は、右土地を所有していたDであり、E夫妻は、Dの両親として、Dのため、事実上右土地の耕作に従事していたにすぎなく、本件土地はDの自作地であつたものであり、被上告人はDから農地法所定の手続を経て適法に本件土地の所有権を取得したものである旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。所論は、原判決の適法にした事実認定を非難するか、原判決の認定しない事実または原判決の認定と異なる事実に基づいて原判決を非難するものであるが、原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

 

 上告代理人寺井俊正の上告理由第二点について。

 被相続人の事実的支配の中にあつた物は、原則として、当然に、相続人の支配の中に承継されるとみるべきであるから、その結果として、占有権も承継され、被相続人が死亡して相続が開始するときは、特別の事情のないかぎり、従前その占有に属したものは、当然相続人の占有に移ると解すべきである。それ故、本件においては、Eの死亡により相続が開始したときは、特別の事情のないかぎり、従前その占有に属したものは当然その相続人の占有に移るものというべく、特別の事情の認められない本件においては、本件土地に対するEの占有は、その相続人である上告人らの占有に移つたものといわなければならない。これと結論を同一にする原判決の判断は相当である。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第一小法廷

         裁判長裁判官    入   江   俊   郎

            裁判官    長   部   謹   吾

            裁判官    松   田   二   郎

            裁判官    岩   田       誠

            裁判官    大   隅   健 一 郎

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